奄美大島の風景

奄美の未来を共に拓く。

異業種連携・伴走型支援

- プロジェクトの歩みと現在地 -

伝統とテクノロジーが交差し、島に新しい風を吹かせるための試行錯誤を共有します。

Introduction

奄美のポテンシャルを、未来の「接点」へ。

「販路の再定義(出口戦略)」を合言葉に、3組の事業者が挑んだ創発の記録

世界遺産の島・奄美大島。 この島が育んできた伝統産業や豊かな自然、独自の文化資源は今、大きな転換点に立っています。時代の変化とともに、これまでのやり方だけでは価値を届けきれないもどかしさ、そして「次の一手をどこに踏み出すべきか」という切実な葛藤が、現場のあちこちで生まれていました。

そんな中、事業者が自らの事業を客観的に見つめ直し、進むべき道を照らす共通の指針となったのが、専門家・三科公孝氏と共に取り組んだ「販路の再定義(出口戦略)」という視点です。

これは、誰かが用意した正解をなぞる物語ではありません。 三科氏を伴走者に迎え、異なる領域で生きてきた事業者たちが出会い、互いの熱量に触れて自走を始めた、「化学反応」の記録です。

モノづくりの視点に留まらず、顧客と繋がる「出口」から逆算して、自らの事業を再設計する。本ページでは、理想と現実のギャップに悩み、立ちはだかるボトルネックを泥臭く解消しようとする、3つの現在進行形のプロセスを公開します。

  • 【デジタル×地域資源】 「存在しないものは、選ばれない」。MEOというデジタル施策を「新しい道」として、伝統の価値を世界の見つかる場所へ接続しようと奔走する、はじめ商事とシグナストラスト。
  • 【モビリティ×観光】 ケアの枠を脱ぎ捨て、自らの足で漕ぎ出す「自由」を奄美の風景に実装。誰もが旅を諦めない島への扉を、当事者の視点からこじ開けたシンクロプラスと奄美カメハウス。
  • 【リゾート×体験価値】 伝統を「所有」から「体験」へ。高級リゾートという特別な出口に合わせて、奄美の色彩を身にまとう没入体験を、一歩ずつ物販から形にし始めた原絹織物とハナハナビーチリゾート。

完成された成功譚(せいこうたん)を語るには、まだ早いかもしれません。 しかし、客観的な分析を「対話」によって実践へと変えていく、この泥臭いプロセスの中にこそ、次の奄美を創るヒントが隠されています。

奄美・異業種連携の軌跡と未来

異業種連携伴走型支援 ロードマップ

令和6年度
Phase 1-2
事業計画・事業所選定
2024.09

伴走支援先となる2社のヒアリング・選定を完了。

Phase 3-4
連携先探求・現地調査
2024.10 - 11

現地ヒアリングを通じた課題特定と、連携に向けた意思疎通。

Phase 5-6
中間共有・座学レクチャー
2025.02 - 03

進捗のオンライン共有と、次年度の実装に向けたレクチャー。

令和7年度
Phase 7
研究・開発フェーズ
〜2025.10

各事業所におけるプロダクトやサービスの具体的実装期間。

GOAL 1:到達点
試作・事業構想の完成
Phase 8
事業成果のとりまとめ
2026.01

研究・開発期間で得られた成果(プロダクト・モデル)を、最終的な成果物として集約・パッケージ化。

GOAL 2:事業化
商品化・事業展開の確定
Phase 9
周知・横展開の基盤づくり
2026.02 - 03

周知媒体の制作を通じ、好事例を地域全体へ展開。伴走支援の集大成へ。

FUTURE ──
事業所の自走による加速

協議会の伴走期間を経て、各事業所が主体となった本格的な事業展開がスタート。 構築したモデルを基盤に、奄美の新しいビジネスが自走し、島全体の活性化を牽引します。

Stories

3つの異業種連携ストーリー

01

デジタル×伝統の交差点

大島紬の魅力をMEOで「見つける」仕組みへ

株式会社シグナストラスト 武内美代子氏 × 有限会社はじめ商事 元允謙氏 × 株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

有限会社はじめ商事 店舗内にて

有限会社はじめ商事 店舗内にて

奄美大島の伝統産業である「大島紬」を、MEO(マップ検索エンジン最適化)という現代のデジタル施策で活性化させ、地域全体の創成へと繋げる——。本プロジェクトは、そんなビジョンから産声を上げた異業種連携のモデルケースです。

きっかけは、一つの異業種連携セミナーでした。株式会社シグナストラストの武内美代子氏は、「MEOの実践によって奄美を訪れる人に正しい情報を発信し、奄美大島での体験・消費を通じて地域活性化に繋げたい」と熱い想いを語り、そこに大島紬の未来を模索していた有限会社はじめ商事の元允謙氏が応えました。

「情報がない」ことは、現代の旅行者にとって「存在しない」ことと同義であるという危機感。そして、伝統を守る側とデジタルを推進する側が、互いの専門性をリスペクトし合いながら歩んだ1年間の軌跡。本記事では、専門家・三科公孝氏の視点を交えながら、デジタルと伝統が交差する場所で生まれた新たな地域活性化の形を紐解きます。

大島紬とMEOプロジェクトの様子

三科

本プロジェクトの全ての始まりは、2024年に開催された異業種連携セミナーでしたね。ITの専門家である武内さんが「MEOで奄美を元気にしたい」と決意を語り、そこに大島紬の未来を担う元さんが呼応した。あの瞬間の熱気は今でも鮮明に覚えています。

武内

私が旅行で奄美を訪れた際に体験したことなんですが、旅行前から友達と調べておいたお店を当日検索し「営業中」となっていたことを確認してから、1時間ほどかけて訪れた結果『臨時休業』の紙だけが張ってあったんです。こんなこともあるよねと泣く泣く帰りましたが、移住してきた後でもその現状が続いていました。
このままでは、奄美旅行を楽しみにしていた方が残念な気持ちになって、奄美大島のイメージダウンに繋がってしまうとずっと感じていて、奄美には素晴らしい工房やお店が溢れているからこそ、『必要な情報を正しく発信すること』が今の奄美には必要であると感じました。

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

武内さんのその視点は、私にとって非常に鋭い指摘でした。弊社でも自社サイトは運営していましたが、それはあくまで「既知の顧客」への発信に過ぎませんでした。Googleマップのように「今、この瞬間に大島紬を求めている人」をどう迎え入れるか、という視点が完全に抜け落ちていたんです。伝統を守ること、良いものを作ることに心血を注ぐあまり、入り口でのお客様への「デジタルなおもてなし」が疎かになっていた事実に、対話を通じて初めて向き合うことができました。

実際に伴走支援が始まって驚いたのは、自分たちが「日常」だと思い込んでいた工房の風景や、泥染めの複雑な工程、そして職人の想いそのものが、外部の方にとっては「極めて価値のあるコンテンツ」だったという発見でした。

三科

武内さんが現場で感じた課題感は、現代のマーケティングにおいて極めて重要です。MEO(マップエンジン最適化)の本質は、単なる検索順位の操作ではありません。それは『この店に行けば、どんな感動体験が待っているのか』を正確に、かつ誠実に伝えるための、まさに元さんがおっしゃられた『デジタルなおもてなし』です。情報が不透明であることは、現代の旅行者にとっては『その場所が存在しない』ことと同義です。

株式会社シグナストラスト 武内美代子氏

株式会社シグナストラスト 武内美代子氏

三科

お二人の対話が深まる中で、「1社の集客」という枠を超えた壮大なビジョンが見えてきましたよね。

ええ。武内さんと話すうちに、単独の努力を「点」で終わらせてはいけないと強く思うようになりました。空港のQRコード一つから、島全体の特産品、体験、宿泊施設がシームレスに繋がる仕組み。行政や他業種も巻き込んだ「奄美大島全体のポータル化」という未来。その大きなうねりの第一歩が、この小さな対話から始まったのだと確信しています。

武内

実際の運用フェーズでは、まさに「1に根気、2に根気」の連続でした。順位や数字がすぐに目に見えて動かない時期もありましたが、週次のミーティングを一度も欠かさず、地道な改善を積み上げました。

営業時間の正確な反映はもちろんですが、お客様からいただいた写真付きの口コミに一つひとつ丁寧に返信し、店内の魅力を伝える写真を定期的に更新する。こうした「地味な作業」の積み重ねが、お客様との距離を縮めるだけでなく、デジタル上の信頼に繋がっていく過程を肌で感じることができました。

有限会社はじめ商事 元允謙氏

有限会社はじめ商事 元允謙氏

三科

伝統産業の側が守り続けてきた価値を、デジタル活用の側から正しく社会へ繋ぎ直す。この「共創」のプロセスこそが、Googleのアルゴリズムに「この事業者は誠実で、信頼に値する」と認識させる正攻法となったわけです。テクニックに逃げず、熱量をデータへと変換し続けたお二人の姿勢が、結果を引き寄せました。

支援開始から約1年。Googleプロフィールの検索表示数は前年比207%、アクション数は136%という目覚ましい成果を収めることができました。しかし、私たちはこれをゴールだとは思っていません。

Googleプロフィール検索表示数の推移グラフ

春季( 3月〜5月):平均検索表示数上昇率179% 夏季( 6月〜8月):平均検索表示数上昇率196%
秋季( 9月〜11月):平均検索表示数上昇率207% 冬季(12月〜2月):平均検索表示数上昇率147%

武内

次なる構想は、ウェブ上の「デジタル大島紬美術館」です。リアルの施設を建てるには莫大なコストと時間がかかりますが、ウェブなら今すぐにでも、各社の蔵に眠るお宝級の織物を世界に発信できます。

「この柄の背景には、この奄美の海岸がある」「この植物の色の深みが、この着物に宿っている」。そうしたストーリーをQRコードやポータルで繋ぎ、島全体を回遊する仕組みを作りたい。デジタルという新しい糸を使って、伝統という織物を世界へ届けていく。その可能性を、今回の連携で確信することができました。

大島紬とデジタル施策の取り組みの様子

株式会社ノウハウバンク

三科公孝

数値としての成果(197%増)もさることながら、何よりの収穫は、店主の元氏が「最近、マップを見て来ましたというお客様の声が明らかに増えた」と実感されていることです。それこそが、私たちが目指した異業種連携の真の姿でした。
本プロジェクトは、奄美大島の伝統産業である大島紬を、MEOという施策で活性化させ、地域全体の創成につなげることを狙いとしています。伝統産業においては、個別企業の成長が組合などを通じて他事業所へ伝播し、「面」となって産業全体の再生へとつながることが期待されます。

私たちが描く「デジタル × 伝統産業再生」の異業種連携は、以下のステップで進化していきます

特に雨天時の観光スポット不足という奄美のウィークポイントに対し、室内体験の強みをデジタルで可視化することは、島全体の満足度を底上げする可能性を秘めています。

  1. MEO:マップ検索結果で自店舗を上位表示させ、集客と認知を最大化する
  2. HP ブラッシュアップ:アクセス後の離脱を防ぎ、予約導線を最適化する
  3. 体験予約のデジタル対応:管理を効率化し、リピーター獲得へつなげる
  4. ショートタイム(短時間)高付加価値 体験観光の新メニュー開発:ツアーに組み込みやすい30分完結プランなどで満足度を底上げする
  5. ネットワーク化によるリソース不足への対応:急な予約への対応など、一社では困難なボトルネックを連携で乗り越える
  6. デジタル・ワンストップ・ミュージアム構想:ウェブ上に島全体のお宝を集約し、ストーリーで回遊させる仕組み

FAQ

Q

MEOに取り組む企業やサービスは全国で数多く存在していますが、奄美大島の地元の企業がMEO サービスを提供することにはどのようなメリットがありますか?

A

奄美大島に限りませんが、MEOを必要とする業種には、飲食業や理容業をはじめとしたサービス業、宿泊業、土産物店などがあります。このような業種の経営者や従業員の中には、デジタルに苦手意識を持つ人たちが一定数存在しています。これらの人たちに、遠方からメールやリモートで提案を行っても、『自分自身では写真や文章を投稿することができない』、『お客様からの口コミに返答を書き込む事ができない」という人が数多くいるのも事実です。このような場合、地元に腕の良い『サービス提供者』がいて、フェイス・トゥ・フェイスで、寄り添ってMEOに取り組むことには大きな意味があります

Q

シグナストラスト様とはじめ商事様の異業種連携は好調にスタートしたように見受けられます。成功の要因はなんだと思いますか?

A

要因はいくつか挙げられると思います。

  1. 同じセミナーに出席、受講し、スタート時から共通認識を持っていたこと
  2. 自社の売上アップだけではなく、奄美大島全体の発展をゴールとする志を共有していること
  3. 新しい技術や新しい分析手法に対して、お互いに好奇心を持って取り組んでいること
  4. 役割分担が明確で、どちらかに負担が偏る事がないマネジメント体制
02

伝統の「出口」を再定義する。

高級リゾートから発信する大島紬の新たな価値

原絹織物株式会社 原正仁氏 × 奄美温泉 大和ハナハナビーチリゾート × 株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

原絹織物株式会社 店舗にて

原絹織物株式会社 店舗にて

奄美大島の伝統産業、本場大島紬。かつて年間300億円もの生産額を誇ったこの産業も、ライフスタイルの変化に伴う着物離れにより、かつてない苦境に立たされています。原絹織物の原正仁氏は、伝統を守る「モノづくり」に邁進する一方で、現代の顧客との接点が失われていく現状に強い危機感を抱いていました。

そこで指針となったのが、専門家・三科氏が提唱する「出口戦略」です。「何を作れば売れるか(入口戦略)」ではなく、「どこで売るか(出口戦略)」から逆算する。この発想の転換が、大和村の天然温泉リゾート「ハナハナビーチリゾート」との出会いを引き寄せました。

すでにディズニーブランドとのコラボレーションを実現させるなど、伝統の枠を超えた挑戦を続けてきた原氏。本プロジェクトでは、リゾートという特別な空間で「田中一村が描いた世界観への没入」を目指し、伝統を「未来の体験」へとアップデートしようとしています。現在は物販からのスモールスタートですが、その先にある壮大なビジョンに向けた、試行錯誤の軌跡を紐解きます。

大島紬の制作工程

大島紬は長い間、大量生産で外貨を稼ぐ時代が続いてきました。しかし、着物愛好家の減少という現実に直面し、一つの業種だけでは新しい時代のお客様の感覚を掴むことが難しくなっていました。

三科

セミナーでは「出口戦略」の重要性をお話ししましたね。衰退期にあるビジネスの多くは、商品そのものよりも、出口となる販路や顧客接点(タッチポイント)が消失していることに原因があります。再生のためには、今、勢いのある「出口」を見極め、そこで求められる形にプロダクトを適応させなければなりません。

「どこで売るか」という視点を持った時、世界自然遺産登録で注目される「観光」こそが、可能性に溢れた出口だと確信しました。単にモノを売るだけでなく、歴史や工程を含めた「体験」として届ける必要がある。そのためには、異業種の方々の感性を取り入れることが不可欠でした。

三科

ただし、単に観光地に商品を置くだけでは不十分です。「なぜ伝統工芸が必要なのか」というストーリーを、リゾートという特別な空間でどう体験してもらうかが最大の挑戦でした。

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

三科

連携相手として、富裕層やインバウンド客に強いハナハナビーチリゾート様を選定しました。富裕層をターゲットにすることには必然性があります。その理由はオーバーツーリズム対策です。低単価の観光客を大量に呼び込むことがオーバーツーリズムの原因となっています。ハナハナビーチリゾートの浜崎代表との対話の中から、非常に魅力的なコンセプトが生まれましたね。

はい。「奄美を愛した画家・田中一村の世界観を、ここで体験できないか」という提案をいただきました。一村が描いた情熱的な色彩は、まさに大島紬の染め色そのものです。リゾートの自然の中で大島紬を身にまとい、絵画の世界に没入する——。これは、伝統の新たなアウトプットの形として、私にとっても非常に刺激的なアイデアでした。

三科

原さんはすでにディズニーとのコラボレーションも手掛けるなど、柔軟な実績をお持ちです。だからこそ、リゾートという全く異なるフィールドでも、「伝統」を「現代のエンターテインメント」へ昇華できるという期待が高まりました。また、異業種連携で当初イメージしたのは、お客さまが宿泊される部屋のうち何室かを「大島紬特別ルーム」へとリニューアルさせるプランでした。カーテンや壁に掛けるタペストリー、ベッドカバーやベッドのフットスロー、ソファに置かれるクッション、洗面所でドライヤーを入れる袋、ティッシュカバーなど、客室の内装や小物に大島紬のファブリックを贅沢に使う特別ルームです。

原絹織物株式会社 原正仁氏

原絹織物株式会社 原正仁氏

三科

理想を形にするには現実的な壁がありました。当初の「大島紬ルーム」案は、施設の特性上断念し、「着付け体験」へと舵を切りましたが、ここで3つの大きなボトルネックが明確になりました。

一つ目は、高額な紬が汚れたり破れたりした際の「保険対応」です。これには事務局が複数の損害保険会社へヒアリングを行い、最適なリスクカバーの形を模索しました。二つ目は「売り方」です。高額な購入ハードルを下げるため、ライフスタイルに合わせた「サブスク(月額定額制)」の導入について、事務局と専門家で調査・提案をいただきました。

三科

最大の難関は、三つ目の「着付けスタッフの確保」でした。常時雇用は難しいため、地元の高齢者の方々のスキルを活かし、予約が入った時だけスポット雇用する仕組みを検討しました。シルバー人材センターへのヒアリングや、「奄美の人事部」・タイミーの活用など、伝統を支える「人」のネットワークをどう構築するか、今まさに知恵を絞っているところです。

ハナハナビーチリゾートでの打合せ

ハナハナビーチリゾートでの打合せ

田中一村の世界観への没入体験や、本格的な着付けプランの運用には、まだクリアすべき課題があり、時間はかかりそうです。しかし、立ち止まるのではなく「スモールスタートでも良いから、実際に連携のアクションを動かそう」ということになりました。

三科

その第一歩として、ハナハナビーチリゾートのロビーでの物販がついに始まりましたね。

本物の質感に触れていただくために、まずは手に取りやすい財布やパスケースなどの小物から展開しています。宿泊客の方がふとした瞬間に大島紬に触れ、「次はこれを着て、あの森を歩いてみたい」と思っていただけるような導線を作りたい。

三科

この物販は、将来の「没入体験」への確かな一歩です。リゾート、保険、IT、スポット雇用と連携の輪を広げることで、大島紬は再び「動く伝統」として息を吹き返そうとしています。

伝統を守ることは、新たな「出口」を見つけ、そこで必要とされる価値へと進化し続けること。奄美大島全体が潤い、大島紬が再び世界を魅了する日を目指して、この挑戦を続けていきます。

大島紬の小物展示の様子

株式会社ノウハウバンク

三科公孝

本プロジェクトにおいて特定した「3つのボトルネック」と、その解消に向けた戦略的なアプローチは以下の通りです。

再生を阻む3つのボトルネックと解決への提言

  1. 第一のボトルネック:保険対応
    「高価な伝統工芸品を屋外での体験に使用する際、汚損・破損のリスクが障壁となります。複数の損害保険会社へのヒアリングを通じ、事業者が安心してサービスを提供できるスキームを提案しました」
  2. 第二のボトルネック:価格と所有のあり方(サブスクの検討)
    「購入の心理的・経済的ハードルを下げるため、サブスクリプション(月額定額制)の導入を検討。留意点や進め方について調査を行い、現代の消費価値観に合った売り方を提案しています」
  3. 第三のボトルネック:着付けの体制確保
    「固定費を抑えつつ、予約に応じた柔軟な体制を作るため、地元の熟練技能者(高齢者等)を『奄美の人事部』やタイミー等のスポット雇用で繋ぐ仕組みを模索しています」
03

ケア×観光の新潮流

「あきらめない旅」への挑戦。
COGYを核とした親子三代ユニバーサルツーリズム

一般社団法人シンクロプラス 友野秀樹氏 × 奄美竜亀株式会社 前田ひかる氏 × 株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

奄美カメハウスにて

奄美カメハウスにて

「介護が必要な家族がいるから、旅行は諦めるしかない」——そんな概念を、奄美大島から変えようとしている二人。歩行困難でも自分の足で漕げる、健康増進モビリティ「COGY」の普及に奔走するシンクロプラスの友野秀樹氏と、笠利町の海辺で一棟貸別荘「奄美カメハウス」を営む前田ひかる氏の出会いは、奄美に「ユニバーサルツーリズム」という新たな価値をもたらしました。

きっかけは異業種連携セミナーの交流タイム。 前田氏が抱えていた「車椅子の父に自分の意志で移動させてあげたい」という切実な想いと、友野氏の「家族三世代で楽しめる観光環境を作りたい」というビジョンが共鳴し、セミナー翌日には実機体験、そして異業種連携へと加速しました。 本記事では、単なる福祉用具の活用に留まらず、宿泊・飲食・周辺観光を巻き込んだ「島全体のネットワーク化」へと進む、ユニバーサルツーリズムの最前線を追います。

ユニバーサルツーリズムの様子

三科

友野さんは当初から、COGYの普及を「医療・介護」の枠内だけでなく、奄美の「観光」というフィールドで展開したいと考えていましたね。

友野

はい。高齢者や障がいがある方でも、家族三世代で気兼ねなく観光を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」を奄美で実現したいと考えていました。 しかし、そのためには受け皿となる「現場」との連携が不可欠でした。

前田

私は私で、父の介護を通じて、従来の「押してもらう車椅子」では本人の意志で移動できないもどかしさを感じていました。「自分の力で自由に移動させてあげたい」——それが一人の娘としての、また宿を営む者としての課題でした。

三科

専門家が求める「理想の観光のあり方」と、事業者が抱える「家族の想い」が、このプロジェクトの原動力となりました。

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

株式会社ノウハウバンク 三科公孝氏

前田

セミナー翌日、父にCOGYを体験させた時のことは忘れられません。最初は怪訝な顔をしていた父が、自分で漕いで動かせた瞬間に顔色が変わり、「どうやったら借りられるの? 自分で乗りたい」と言い出したんです。

友野

あの瞬間の意欲的な表情こそ、私が伝えたかったCOGYの価値です。私は用具を売りたいのではなく、移動できる喜びを普及させたい。 家族旅行の拠点である奄美カメハウスさんでなら、それが最高に近い形で実現できると確信しました。

前田

宿でも「おばあちゃんだけ足が痛いからお留守番」という光景をよく目にします。「COGYがあれば一緒に出かけられますよ」と提案できることは、宿にとっても大きな付加価値になると感じました。

奄美竜亀株式会社 前田ひかる氏

奄美竜亀株式会社 前田ひかる氏

三科

連携の第一ステップとして、実際に東京都から三世代のご家族を招いたモニタリングツアー(ファムトリップ)を実施しましたね。

友野

足の不自由なお母様が笑顔で海沿いの道を漕いでいる姿を見て、ご家族全員が幸せそうだったのが印象的でした。「自由な移動」は三世代全員に笑顔をもたらすと確信しました。

前田

奄美カメハウス側のプランとしては、固定のセットプランにするよりも、予約時のヒアリングで「足の不自由な方はいませんか?」と聞き、ニーズに合わせて提案する形をとっています。

友野

さらに、大阪のシニア旅行企画者の方も現場にお呼びしました。 送客する側も「体験」して理解することが、今後のツアープラン作成において極めて重要だと考えたからです。

一般社団法人シンクロプラス 友野秀樹氏

一般社団法人シンクロプラス 友野秀樹氏

前田

奄美カメハウスは空港から15分と近く、ビッグII (ツー)や奄美パークも至近です。 今後はこのアクセスの良さを活かし、近隣の「奄美きょら海工房」さんや「あすびや」さんなど、地域の飲食店やレジャー業者と連携したユニバーサル対応を深めていきたいです。

友野

赤木名集落の散策やサトウキビ畑のライドなど、季節ごとの「漕ぐ楽しみ」を増やしていきたいですね。 奄美の冬は内地と比べると温暖で、高齢者への負担も少ない。 観光の閑散期を盛り上げるコンテンツとしても非常に理に適っています。

三科

2社がハブとなり、周囲の施設やドローン撮影企業なども巻き込んだ「面」での展開が既に始まっています。 奄美全体が「誰もが旅を諦めなくていい島」になる未来が、そこまで来ています。

COGYライドの様子 COGYライドの様子

株式会社ノウハウバンク

三科公孝

本プロジェクトは、奄美大島の観光資源を「ユニバーサルツーリズム」という視点でネットワーク化し、地域全体の創成につなげることを狙いとしています。伝統産業や観光業においては、個別企業の成長が「面」となって産業全体の再生へとつながることが期待されます。

異業種連携から始まる「COGYを核とした親子三世代ユニバーサルツーリズム」が生み出すメリットは、以下の通りです

  1. COGYの普及による歩行困難者の移動の自由と喜びの実感
  2. 海前の一棟貸別荘で過ごす、感動体験
  3. 奄美大島全体の観光客数増加や観光収入への貢献
  4. 閑散期の集客&収入増加
  5. 異業種連携企業の客数・売上・利益アップ

特に奄美の冬は過ごしやすく、高齢者への身体的負担も少ないため、観光の閑散期を盛り上げるコンテンツとして非常に理に適っています。また、雨天時のアクティビティ不足という課題に対しても、室内体験や、COGYを活用した「移動そのものが目的となる観光」は、島全体の満足度を底上げし、リピーター獲得や消費単価の向上に大きく寄与する可能性を秘めています。

FAQ

Q

『家族三世代ユニバーサルツーリズム』に興味があります。問い合わせなどはどこにすればいいですか?

A

シンクロプラス様にお問合せください
https://synchro-plus.com/cogy-ride/

Q

COGYを体験したいです。体験会などありますか?

A

COGYについての質問、全国の体験会情報は、シンクロプラス様にお問合せをされることをお勧めさせていただきます
問い合わせ→https://synchro-plus.com

Q

奄美カメハウスでの家族三世代ユニバーサルツーリズムに興味があります。どこから問い合わせをすればいいですか?

A

下記の電話番号かメールアドレスへご連絡くださいますようお願いいたします

Voice

三科 公孝 (みしな ひろたか) 氏
株式会社ノウハウバンク 代表取締役

PRODUCER PROFILE

伴走プロデューサー

1969年山梨県甲府市生まれ。立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業後、㈱船井総合研究所入所。2000年3月に㈱ノウハウバンクを設立し、代表取締役に就任。国が始めるよりも前の2001年より人口減少地域の地方創生に携わる。SDGs de 地方創生ファシリテーター。都道府県、市町村などまち全体の地域活性化はもちろん、各地の伝統産業再生や、地元企業のブランディングを柱とした企業の業績アップなど、マクロ・ミクロ両面からの地域活性化・SDGs推進が高い評価を得ている。東京ビッグサイト、幕張メッセで行われる大型イベントなどSDGsセミナーの講師を務めている。著書:『儲かるSDGs』(クロスメディア・パブリッシング 2020/10/16)

Contact / Partners

本プロジェクトを通じて連携した事業者様、および協議会へのお問い合わせはこちらより承ります。

株式会社シグナストラスト


https://www.cygnus-trust.com/

有限会社 はじめ商事


https://hajimeshoji.com/

原絹織物株式会社


https://www.nizaemon.jp/

ハナハナビーチリゾート


https://www.amamihanahana.com/

一般社団法人シンクロプラス


https://synchro-plus.com/cogy-ride/